小説 「自国を守れ」

府川耕大 (17歳)

2060年 6月26日
「パチパチパチ」とコンピューターのキーボードの音が部屋の中に響き渡る。数百台のコンピューターの前に一人づつ座り、真剣な表情でコンピュータースクリーンを眺めている。彼らの正体は、コンピューター中毒の人たちでは無く、政府の下で働く諜報員たちである。けれど彼らは単なる諜報員では無く、実の正体は国のために裏の戦争を戦うサイバー兵士達である。
50年前、子供の英雄は警察官や消防士であったが、今の時代の英雄はサイバー兵士であり、子供皆から憧れている。彼らは自ら戦場に出て命を懸け戦っていないかもしれないが、彼らはコンピューターを通し自国の安全を守ってくれている。遠くからでも国を守ってくれるという事に子供は引かれた。
その厳しいサイバー戦争を戦う、英雄と呼ばれるサイバー兵士に、僕は幼い頃いつも憧れ、将来絶対なると言い続けた。そして28歳になった僕は、訓練と努力を積みやっと自らサイバー兵士に成る事が出来た。

バージニア州に位置している米国国防総省、ペンタゴンはアメリカの頭脳と呼ばれ、全米の優秀な人々が働いている。ペンタゴンの中の組織は皆全て知っていると思っているかもしれないが、実はその地下で、ほんの数人しか存在を知っていない秘密の地下10階が存在する。その地下10階はサイバー兵士達の戦場と成っていて、彼らは毎日そこで戦っている。もちろん僕もその階に入るまで、全然地下10階の存在さえ知らなかった。地下10階はエリアゼロと言う名が付いていて、その雰囲気は今まで感じた事が無い真剣さであった。それに加えエリアゼロでは、人間の壁のように警備員が部屋の回りを囲んで、サイバー兵士達を見守っていた。エリアゼロの施設や技術は他の階と比べ、はるかに進んでいた。まるで未来の世界にテレポートしたような感じであった。コンピューターは民生用の普通の物では無く、空にコンピュータースクリーンが映るスーパーコンピューターであった。サイバー戦争はミリ秒の世界で戦われ、数ミリ秒の差が国の危険性と安全性を決めるため、一番進歩している技術を使わなければ、すぐ他国に後れを取られてしまう。だからエリアゼロでは、光の速さで動くコンピューターしか使用していない。まさに世界一権力を持っているアメリカの頭脳である場所だと、僕は実感した。
小さい子が初めて公園に行き、口をあんぐり開けたまま辺りを眺めるように、自分もエリアゼロを驚きで口を開けたまま眺めていた時、誰かが僕を訪ねて来た。彼は木の枝のように細くて、LED蛍光灯のように真っ白な顔をした男性であった。視野の端から彼の名札を見ようとしたが、すぐに彼の名前を把握する事は出来なかった。もう一度ちらっと見ようとしたら、名札にはアルファベットと数字しか書いて無いことに気が付いた。彼の場合は、名札にA-1と書いてあった。

「エリアゼロへようこそ、ここの指揮を取っているA-1です。」

名前を単なるA-1と紹介した後、彼は僕の名前を聞かずに名札を手渡した。A-1の名札と同じなような物を受け取り、名札を見たらやはり自分の本名は書いて無く、彼のようにアルファベットと数字のB-7しか書いて無かった。実の正体が外から発見され、暴露されてしまったらエリアゼロの危険に導いてしまう可能性が十分あるから、絶対本名を使わず、皆アルファベット‐数字の別の名を使うようにしていると説明を受けた。

「チームBへようこそ、B-7さん。」

始めは彼の言葉の不自然さに脅かされたが、エリアゼロの回りツアーを受けみんなの名札を見たらやはり、C-4,A-9,B-3,D-5などと書いてあった。そして皆の会話も聞いてみたら
「A-4さん終わりましたか、D-2さん来てください」
など普通にこのアルファベット‐数字の名前が使われていた。その名付けは通常に使われていて、その雰囲気に飲み込まれ知らない内に自分のアイデンティティーはB-7になっていた。B-7と言う新しい名を抱えて、やっとアメリカの国防総省の一員になったと実感した。

アメリカ人の父と中国人の母の間にアメリカで生まれ、アメリカ国民として育った僕は優秀な成績を残し、この米国国防総省にまで登る事が出来た。大学卒業後、沢山の就職先はすでにあったが、アメリカ政府に採用され、強く国防総省に入る事をすすめられ、断る事は難しかった。けれど自分にとっても国防総省は興味を持っていた職業で、国を守ると言う概念に引かれ、最終的には政府の下で働く事を決意した。アメリカ政府から採用されるほど、自分の才能は他の人から認められていたのだ。その才能を活かすために僕はすぐにエリアゼロで働かされた。一番技能を持つコンピューターハッキングから始め、自分の才能をエリアゼロの皆から試された。簡単にコンピューターハッキングとは何かと言うと、相手の情報を盗む、あるいは自分の情報が盗まれないように防ぐ事である。速さや正確さなど全て試され、他のチームメイトと競い合った。他の人にとっては驚くべきな結果であったかもしれないが、僕自身にとっては当然な一番良い成績を残した。長年働いているベテランなどよりも、速くて正確にハックする事ができて、急に皆から信頼と尊敬を得てしまった。十分他国とのサイバー戦争に戦える技能を持っているとA-1から認められ、まだまだ新人である僕B-7がすぐに国の為に働けるとは全然思っていなかったが、すぐに実現された。

日々を重ね、だんだんエリアゼロに慣れて、毎日繰り返す任務のコツなども得て、一番効率良い働き方を数日で身に着ける事が出来た。知識を身に着け、サイバー戦争をずっと戦い続け、負けずに前へ進み続けた僕は知らないうちに、ただのチームメンバーでは無く、ハッキングを中心に行うエリートの新チームEのリーダーと認定された。新たなチームEのリーダーになり、その結果自分の名札もすぐに、B-7からE-1と新しく変わっていた。チームリーダーはもちろん指導者と言う責任感が必要とされるが、それに加えチームリーダーはすでに政府から認められている人物であるから、チームリーダー達は特別に秘密書類や米国国防総省の情報もアクセスする事が出来る。誰にもアクセスする事が出来ない国の重要な情報を、チームリーダー達なら有効に使えると政府から信頼され、国は情報を手渡している。この情報を有利にサイバー戦争に使えるように、僕は一日ですべて読み通し、内容を暗記した。

全体的にまとめると、アメリカにとってサイバー戦争の主な敵国はロシアと中国である。けれどその二国の内一国は特に技術も進歩し、サイバー戦争にもっと力を入れ始めている中国は、とても危険なアメリカの一番の目的となっていた。中国人の顔付きはしていなくて、アメリカ国民である僕であったが、中国とのサイバー戦争で戦う事には少し違和感を感じた。いくらアメリカ国民で、外見もアメリカ人に見えても、本人の体の内部は半分中国人の熱い血が流れている。けれど僕はその事実を今は無視し、働くことに集中し続けた。

2050年6月20日に、中国の軍船がハワイの海上境界線を越えアメリカ領海に侵入し、その時点からすでに高かった中国とアメリカの緊張がされに高まった。その事件以降エリアゼロは今まで一番忙しい時期を味わい、エリアゼロは通勤ラッシュの渋谷のように常に混雑の状態であった。中国が取った行動の裏を探り、中国の権力を制限し、アメリカの安全を守るために、我々ハッキング部のチームEは戦いへ挑み始めた。チームEを集め、計画を練り指揮を取った。もちろん世界最強と呼ばれている国同士がサイバー戦争で交戦したら、簡単に決着が付く物では無い。現在エリアゼロは大騒ぎで,皆一生懸命働いているように、中国側の国防総省も全く同じような様子であるだろう。お互い国の名を背負って戦い、課題をちゃんと果たすために、精一杯死ぬ気でチームEは働き始めた。

事件が起こった前からいつも中国とアメリカの間に、サイバー戦争は行われていたが、この事件後のサイバー戦争は噴火した。政府側は中国との問題を政治的に解決しようとし、その間僕たちのチームEが中国が何故アメリカ領海に侵入したかの真意と、次に取る行動を探り始めた。けれど中国のデータベースに入り込み、情報を盗むのは決して容易な事では無い。中国のセキュリティーはしっかり固定されていて、沢山の仕掛けも隠されていた。素早く情報を盗まなければいけないが、仕掛けにはまってしまったらアメリカの行動が世界中に暴露されてしまう危険性もある。その危険性を理解したうえ、チームEは困難な戦いへ挑んだ。

「E-2、E-3、E-4は中国のデータベースに入り込み、E-5、E-6、E-7はアメリカから一つもの情報が出ないように、データベースを強めて中国からのハックを防ぐように。俺は両側後方に回って指示するからな。」

「はい!」
とチームEの声が全て揃い、すぐに自分たちの位置へ別れ、課題にのめりこんだ。A班は中国のデータベースへ入り込むためにハッキングを続け、B班はアメリカのデータベースを守り続けた。さすが中国のセキュリティーは強く、A班は何回も何回もデータベースをハックしようと試みたが、全然前へ進む事は出来ず、やっと1段階までも通る事は出来たが、それ以降全然進歩を見せる事は出来なかった。

「E-1リーダー!今まで見たことの無い符号も出て、全然前へ進む事ができません」

アメリカの一番優秀なハッカーが集まっているチームEさえも、中国の万里の長城のようなデータベースを簡単に通り超えられなかった。チームEのリーダーとアメリカのエースとして、僕は席を取り懸命にコンピューターのキーボードを打ち始めた。やはり自分にとっても難しいそうであったが、何となく符号を想像しながら中国のシステムを理解し夢中に作業に取り組んでいた途中に、部屋の反対側から

「リーダー、中国がもう第二段階のセキュリティーを通り抜けました、このままだとうちのデータベースにたどり着いてしまうかもしれません」

自分が中国の第二段階のセキュリティーを通る前に、もうすでに中国は先に進み始めてセントを取ってしまった。一時期僕は行わっていた作業を止め、B班の方へすぐに向かった。合計第五段階しかないセキュリティーの四割はすでに倒され、ほんの六割のセキュリティーしかアメリカのデータベースの前に立って守っていなかった。米国国防総省さえアメリカのデータベースの内容を全て知らないのに、もし敵国の中国が解明してしまったら、アメリカを危機の状態に遭わせてしまう。絶対にそれ以上中国にアメリカのデータベースのセキュリティーを倒されてしまったら、アメリカの情報は全て盗まれ、本当に国の安全が試されてしまう。中国の攻撃を止め、防ぐにはまた僕の力が必要とされた。中国のデータベースへ入る事に加え、中国をアメリカのデータベースに入れない二つの課題が僕の前に急に落ちて来た。両方成し遂げられるかは分からないが、戦場へ挑んだ。

相手の情報を盗むよりも、自分の情報を守る方が国にとって重要だと自分で判断し、国の情報を守る方に力を入れる事に決断した。中国の攻撃を防御するために、中国のハックに対抗しなければいけない。もちろん簡単に成し遂げられる事ではないが、僕は何日間もかけて、中国の攻撃に対抗しようとした。私は数日間真剣に課題に取り組んだが、我でも中国を止める事ができなかったから、第二の手段をだした。世界中で僕しか解く事が出来ない第六段階のセキュリティーを加える手段しか残っていないと僕は決意した。

「第六段階の我しか解決できないセキュリティーを加えたから、いくら第五段階まで中国が通っても絶対彼らは第六段階以上通る事は出来ない。」と我*(わたし)は皆に保障した。

この宣言に疑いを持つ人も初めにいたが、もうすでにエリアゼロの指導者を含め、沢山の人から認められていたから、最後には皆我の決断に同意してくれた。アメリカのデータベースが攻撃される恐れは、一時的止める事を出来たが、まだまだ中国とのサイバー戦争は終わった訳では無い。第六段階のセキュリティーを加えたにも関わらず、中国は第五以降のセキュリティーを倒し続けた。もちろんアメリカも中国のデータベースへ入り込み情報を盗まなければいけないが、チームEの中でもその課題は我しか成し遂げれないもので、アメリカを我だけで背負うのは不可能に近い事であると、我だけでも無くエリアゼロの皆も不可能に近い事であると理解していた。アメリカがサイバー戦争に勝てない状況までに落ちてしまった。

エリアゼロの指導者A-1は現在の状況を把握し、すぐに大統領にエリアゼロの状況を伝えるために直接連絡した。

「すみまぜんが、サイバー戦争だけで戦えば最終的には負けてしまいます。政治的に中国との問題を解決しないといけません。」と恥をしのんだ声で伝えた。

サイバー戦争では負けてしまって、軍事戦争は沢山の犠牲者を出してしまうから、アメリカ大統領は最後の選択肢の政治的に問題を解決しなければいけない。もちろんアメリカ大統領だけでは無く、攻撃を計画した中国の大統領もこの状況を十分理解している。中国はアメリカと比べ、明らかに有利な点を持ち、絶対アメリカの希望通りに会談は進まないが、絶対政治的に問題を解決しなければいけないアメリカは、中国との会談を開いた。

会談の日、アメリカ大統領はハワイを中国に無くす覚悟をしながら、会談へ向かった。米国国防総省の代表としてA-1と一緒に我も会談に参加した。敵国である国同士が集まる会談であるから、緊迫した会談になると始め思ったが、意外に気楽な空気が部屋に広がっていた。

けれどアメリカ大統領は緊張した表情を持ち、中国の大統領へ説得し始めた。沢山の提案をアメリカ大統領はだしたが、中国の大統領は落ち着いたまま口を開いた。

「もちろんアメリカは我のハワイの侵入を必ず防ぎたいと思っているから、我らはすぐにハワイ領海から出ます。」

アメリカ大統領の緊張していた表情はすぐに無くなり、微笑んだ顔になった。

「ただ条件が一つ付きます。そこの二人の米国国防総省からの者を、一人我の人質としてよこせ。」

アメリカ大統領は急な依頼に驚いたが、もちろん大統領はハワイを守るために同意し、エリアゼロの指導者では無く、全然大統領と縁が無い我を大統領は指を指した

「この若手でよいだろう。」と大統領は嬉しそうな表情をしながら答えた。

愚かなアメリカ大統領は何も知らず、良い取引を行えたと思って愉快でいたが、彼は大きな間違えを起こしてしまった。中国とアメリカの大統領が握手をして、その時点で会談はすぐに終わり、我は中国の大統領と一緒に北京へ戻り、帰りの途中に大統領から褒められた。

「ようやったぞ」

米国国防総省のエリアゼロで過ごした短時間の間、我はアメリカの弱点を全て探りだした。秘密書類なども全て暗記し、そこで働く人々の技能の程度も知る事が出来た。アメリカは今回ハワイを無事に守る事が出来たが、アメリカの情報を得た中国は、数年でアメリカを上回る超大国となる道が大きく開いた。

僕の体は最終的にアメリカの血では無く、全て中国の血で染まっていた。

*我は中国語で私と言う意味

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