小説「剣」

マックニャーニ 太羅 (13歳)

われわれの世界では、剣が大切だ。剣を見捨てる人物、命の代わりに剣を渡す人物、それらの人々は不肖ものだと呼ばれる。学校を卒業できればアカデミーに行き、自分の強さによってアカデミーでの義務が決められる。義務の中でもっとも立派なのはシフター殺しだ。シフターとは人間や動物のチャクラを食べる化け物のことだ。その生物のチャクラを食べればその生物を完全に模倣することが可能だ。だからシフターという名を持っている。兄のチャクラがシフターに食われ、生気のない兄の体が、抗うことなくシフターになったとき、僕は誓った。兄の仇は僕が取る。だから、何があっても必ず学校に入り、シフター殺しの役割を僕がもらう。

「皆さん、卒業おめでとうございます。ここからあなた方はアカデミーに入ることになります。学校卒業を認めるため、あなたたちにアカデミーの征服を渡します。それと、この卒業のためにあなたたちの父母が用意した「あなた」の剣をもらうことになります。では、もういちど、ご卒業おめでとうございます。そしてアカデミー入学おめでとうございます。」
僕は自分の興奮を隠せないぐらいうれしかった。卒業の平均年齢より一年しただった。ほかのみんなは14歳だったが、僕とほかの数人の生徒たちは13歳でもう自分の剣をもらうことになった。僕の同じ年の卒業生、ニックに手を振った。彼はにっこりわらって僕に手を振った。前を見ると、僕のお父さんの笑顔を見ることができた。そして、彼の手の中には、太陽の光を美しく反射した、黒い箱があった。僕の胸の鼓動がどきどきと高鳴った。
「お父上方、一歩前出てください。」
われわれの前に立っていたお父さんたちは一歩前進んだ。
「卒業生方、一歩前出てください。」
われわれは一歩前進んだ。僕は僕のお父さんと腕の長さほど離れていた。
「お父上方、剣を卒業生に渡してください。」
静かに、お父さんたちは、われわれ卒業生に両手つかって剣を渡してくれた。お辞儀をしながら、両手で剣の箱をいただいた。もらった瞬間、僕の目には涙がじわっとわいてきた。そして、父を見た。父は何も言わなかったが、表情で感動しているのがわかった。
「飛鳥、よくがんばった。13歳で、卒業おめでとう。」
誇り高く胸を張り、僕は父に礼を言った。咳払いをして、静かに元の席に戻った。その後、われわれ卒業生は制服をもらい、我慢のない卒業生は式典のすぐ後洋服着替え、学校中肩をいからせて歩いた。だが、あと一週間で始まるアカデミーの用意のため、僕にそんな余裕はない。この学校のほかに四つの学校があり、五つの学校の中でこの学校が三番目だといわれている。残念ながら、すむところによって学校が決まるから、一番の学校に行くことは不可能だった。しかも、ほかのみんなより一年下だから、一年分の修行を犠牲することになる。
学校の校長先生と話していた父に「先に帰る。」といって、バッグの中
に制服を入れた。でも、さすがに剣は大切なので、箱のまま手に持って歩き始めた。
学校の門を出る直前、ニックは僕の元へ駆け寄ってきた。手に見事な剣を持っていた。
「おーい、飛鳥、見てくれこの剣!この鋭い刃を!この剣を使って、絶対にあのシフターやろうをやっつけるぞ。」
僕は眉をひそめた。
「剣を鞘に収めなさい。剣とは見せびらかす道具ではない。剣を自分の体だと思え。自分の体を見せびらかすのはみっともない。敵を切るときに剣を使うのだ。」
ニックはちょっとしょんぼりした顔で、剣を鞘に戻した。
「ごめん。興奮しすぎて冷静なところを失っちゃった。」
僕は微笑んだ。
「気にするな。僕に誤る理由などない。急いでるから、ここでお別れだ。アカデミーでまた会おう。」
ニックはうなずいて立ち去った。
家に帰る途中、後ろから誰かが乱暴な声で僕に話しかけた。
「よ~、飛鳥。元気そうじゃないか。卒業おめでとう。」
振り返ってみると、源太郎、正太郎と大太郎がへらへら笑っていた。
「今度は何だ。」
「まあ、まあ、罪人扱いするな。君が持っている剣にちょっと興味をもっただけだ。」
「なんだと!なぜ僕の剣に興味を持つ?」
「お前の目は節穴か?みろ!その剣には清正のしるしがある!もっとも有名で天才であるあの刀鍛冶の剣だ!君のような13歳のガキがもてるよう剣ではない!よこせ!」
源太郎がいうとおり、剣箱には清正のしるし、円の中に桜の花のシンボルが銀色のインクで書かれていた。あまりにも急いでいたから刀鍛冶の名前さえ見るのを忘れていた。情けない。だが、どうやって父はこの刀鍛冶を説得できたのか?僕みたいな子供が清正の剣を持っていることは奇跡に近い。ともかく、父がこの剣を僕に託した以上、この剣を源太郎みたい奴に渡せない。
「。。。君の行動はルール違反だ。しかも、父からありがたくもらった剣だ。源太郎、戦う覚悟はできているな。」
三人とも汚らしい笑顔で剣を抜いた。
「抜けよ。その刀を。」
僕は頭を振った。
「化け物の血はシフターで十分だ。」
彼ら三人は怒り狂った顔をして叫んだ。
「このガキ!ぶったぎってやる!」
源太郎は僕の頭を狙って、刀をすばやく振り落とした。でも、この程度の速さでは、僕を切ることは不可能。僕は頭をスッと下げたから、源太郎は僕の髪の毛一本さえ触れることはできなかった。源太郎が刀を振ったひょうしに体のバランスが崩れた。僕はその拍子に彼の足の急所を狙って蹴りをいれた。目に見えない速さの足蹴りに、源太郎は悲鳴をあげながら地面に崩れ落ちた。全力で走っていた正太郎は源太郎にぶつかり、二人は転がり倒れた。後ろにいた大太郎は絶大なる力をこめて、剣を僕のおなかに突きたてようと襲い掛かってきた。僕は横に移動し、脇で剣の動きを止め、顔面にパンチを食らわせた。意識をなくした大太郎は、立ち上がろうとしていた源太郎と正太郎の上に崩れかけた。
彼らが倒れているうちに僕は地面に置いた剣箱とバッグを掴み、つかまる前に去った。僕は風を切るように走って、三人の怒鳴り声が消えるまで走り続けた。

家に辿り着いたとき、僕の部屋の中に入り、ひざまずいて剣箱を僕の前においた。あまりにも緊張していたので足は震えていた。剣箱のふたをそっと取った。その中にあった剣は驚異的であった。
剣の柄は豪華な糸で複雑に刺繍がほどこされ雷の絵がが描いてあった。鞘は標準的である黒色で塗られたのではなく、金属で作られ、竜のうろこの形をした鞘であった。片手で柄をつかみ、もう一つの手で鞘を握った。接触した瞬間、ちくちくする感覚がして、体中少し震えた。震えはだんだん強まり、いきなり恐怖に覆われ、途轍もない吐き気に襲われた。この剣がもつチャクラは信じられないほど強烈だ。もしかして、僕はまだこの剣を持つ覚悟と用意ができていないのか。いや、違う。父が僕にこの剣を渡したのは、僕がそのぐらい成長したからだ。この剣の魂と戦って理解しあわなければ、父をがっかりさせる。戦わなければ!
集中し、僕は目を閉じた。僕の体全体は暗闇に包まれ、真っ暗の中、火花が散った。散った火花はいきなり輝き、一瞬の間目が見えなくなった。眩しい光が消えたとき、そっと僕は目を開いて、口がきけないほど驚いた。僕の前に浮かんでいたのは雷の嵐に囲まれた竜であった。僕は深々とお辞儀をすることいがいできなかった。あまりにも怖くて地面から目を離せなかった。
「私の目を見ろ。怖くなる理由はない。」
僕の目は大きく見開いた。僕の感情と思いを読むことができるのか?素直に僕は顔を上げ、銀色にきらめく竜の目を見た。
「私はあなたが持っている剣の真の姿だ。あなたはその剣に触れたかここにいる。」
パニックしていた僕は考えずに口走った。
「竜神様、どうやってこの剣を僕の手足のように使いこなせるのでしょうか?剣を振り回して、剣を道具だと思って使う人にはなりたくありません。」
竜は微笑んだように見えた。
「あなたは剣を自分の体の一部だと思って愛することができる。気に入った。今すぐこの剣を完璧に使いこなせるのは不可能だが、名前からはじめよう。剣の名前を知ることだけで剣の強さは変わる。もし、脳は体の一部の名前を知らなければ、その一部を使いこなせるどころか、はじめることさえ不可能だ。だから、交換しよう。あなたが名乗れば、私もあなたに私の名前を教えよう。」
「は、はい!僕の名前は黒岩・飛鳥です。どうぞよろしく、お願いいたします。」
竜はうなずいた。
「そうか。それでは、黒岩・飛鳥くん、私の名だ。雷竜。よく覚えておきなさい。二度は言わぬ。」
礼を言う前に、僕はなんとなく背中を引っ張る力を感じた。振り返ってみれば、父は僕の後ろに立って、静かに雷竜を眺めていた。
「父上、すみません!かってに自分で剣箱を開けて。」
父は微笑んで顔を横に振った。
「いいよ、飛鳥。あなたの剣だから。ほう、うれしそうな顔をしているじゃないか。剣と話せたのか?」
「はい!剣の名前をこの剣の魂から教わりました。」
「なるほど。さて、その剣の名前は何だ?」
「雷竜です。」
雷竜はまた手の中で震えたが、こんどは暖かい気持ちが僕の体の中で広がり始めた。父は誇らしげに僕を見ていたように感じた。
「剣を抜きなさい。」
僕はうなずいて、そっと鞘に手をあてた。そして、スッと鞘から剣を抜いた。僕は息を呑んで、数十秒呼吸できなかった。父の目はカッと見開いたままだった。
刀は見たことがない金属で作られていた。ガラスのような透明な物質で作られ、刀の刃の部分が一枚の紙切れのように薄く鋭かった。太陽の光線がこの刀を美しくつらぬき、無意識に出て行く僕のチャクラは刀に蓄積し、積乱雲のように螺旋を描いていた。
僕は父を見た。
「何ですか、この剣は?」
父はもう厚い本のページをすばやくめくっていた。本の後ろの部分で父はとまって集中して読み始めた。たまに父は頭を上げ剣をチラッと見た。そして父は突然本を閉じ、僕に話しかけた。
「飛鳥、その剣はこの世界でもっとも稀少で強い物質で作られている。最初はクリスタルブレードだと思ったが、クリスタルブレードはそのような特徴を持っていない。雷竜の物質はチャクラを蓄積し、チャクラを作ることができて、剣の刃は触れなくても切ることが可能。なぜならその剣を囲むチャクラはそこまで強力だからだ。その物質で作られた剣を持っている者はおまえ以外一人しかいない。」
「そのお方は誰ですか?」
「パトリーナ様だ。」
「パトリーナ様だと!あの伝説のお方-」
「そう。だからその物質をダイヤ・パトリーナとなずけた。いったいどこで清正はこのような物質を手に入れたのだ?この物質の採掘現場を探せたんだったら人類の生存の確率を何十倍上げるはずだ。」
父は出かけるための帽子をかぶり、直垂(ひたたれ)に着替えた。
「私は清正のところへ行く。あなたはその剣と修行してもいいが、安全のため、広い場所でやりなさい。」
「はい、わかりました。」
父が外に出て、僕はまた目を閉じて竜神様に話しかけた。
「竜神様、お聞きしたいことが一つあります。よろしいでしょうか?」
寝ていたように見えた竜は目を開け、僕を見て驚いたように見えた。
「あなたはすでに自由にこの場所にくることができるのか?」
「え、あ、はい。目を閉じて集中すればあなたの姿が見えます。」
竜は穏やかに感心した顔を現した。
「おう、よろしい。それで、その一つの質問とは何だ?」
「はい。あの。。。」
「はっきり言いなさい。」
「はい!すみません。。。僕の師匠として雷竜の扱い方を教えてくれませんか?」
「私があなたの師匠か。。。なぜこの剣の扱い方を今すぐ学びたいのか?」
「はい!アカデミーは後一週間です。あなたの教えを一週間以内に叩き込めばアカデミーにいくとき目立つと思います。僕の夢はシフター殺しの連隊に入ることです。僕のレベルのままでは、お兄さんの仇を取れません!お願いします!どうか僕の師匠になってください!」
竜は塾考しているような顔を見せ、僕に尋ねた。
「そこまであなたは兄の仇を取りたいのならしょうがない。基本を教えてあげよう。」
僕は緊張の糸がとけ、息をしていなかったことに気づき、深く呼吸した。
「ありがとうございます!それで、修行はいつ始めるのですか?」
「明日の朝、あなたが知っている一番広い場所に行きなさい。そこでそ剣の一番の得意技、雷爆を教えてあげよう。」
「雷爆ですか。。。心得ました!では、失礼します。明日の朝、またよろしくお願いいたします。」
「よかろう。」

永遠に長く続くように感じた夜はやがて消え、空は朝を示す、青い色を見せた始めた。父とは母まだ寝ていたので、静かに音を立てないように剣を取り出して、外へ出た。
涼しい空気はぼくの眠さを消し、この剣の力を学べることで、心臓はどきどきした。周りを見ればだれもいない。静かで安らかな朝だった。
ここから右に曲がれば、広くて平べったい草原がある。角を曲がって前を見ると、僕の同じ身長くらいの人物が草原に背中をむけて歩いていた。そいつがもっている優れた剣は不思議なチャクラをだしていて、顔をなぜか隠していた。その人物の横には警護が二人いて、片手で鞘を持ちながらゆっくり歩いていた。僕と同じ背丈の人物は、五つの学校の中で一番高度な学校から卒業したしるしを肩に着け、僕が存在していないように前をじっと見ながら歩いていた。僕も同じく、あいつら三人のことを無視して、どうどうと前を見て歩いた。すれ違う瞬間、真ん中の人が銀色の髪をしていることが確認できた。
草原に到着し、刀をそっと地面におき、ひざまずいて目をとじた。目を開けると竜の顔は僕の目の前にあった。僕は目を下ろし、竜に報告した。
「竜神様が命じたとおり、僕が知っている一番広い場所に行きました。」
竜は少し頭を引いた。
「よかろう。それなら早速修行を始める。この剣の特徴からはじめる。よろしいか?」
「はい!」
「うむ。雷竜はもちろん雷の剣だ。雷竜の一つの特徴とは、直接雷を作れることだ。無意識にあなたの体から出てくるチャクラはその剣の中に蓄積され、そのチャクラは正と不のエネルギーに変換される。だから、剣を振ればたいしたことはないが、雷を出すことは可能。このもっとも単純な技を雷切りという。」
僕は熱心に耳を傾けた。
「雷の強さを上げるには、チャクラの量がもっと必要になる。敵を倒せるような技をするには、あなたは強制的にチャクラを解放しなければならない。それが最初のステップである。次のステップとは、その解放したチャクラをためることである。雷になったあなたのチャクラをためれなかったら、そのチャクラは抑え切れずに爆発するだろう。もし、雷を完全にコントロールすることができれば、集めた雷を敵に放出する。それが雷爆だ。」
僕は興奮しながら頷いて立ち上がった。
「わかりました。早速はじめてもよろしいでしょうか?」
竜はゆっくりうなずいた。僕が目を開けると、現世に戻っていた。草原の草花は手を振っているように、ゆらゆら風と踊っていた。
地面においた雷竜をもちあげ、剣を鞘からぬいた。柄をしっかり握り締めて、目を軽く閉じ、横切りを一振り入れた。雷のバキバキする音が耳に響き、青い光は明るすぎて見えなくなった。何秒か後、閉じていた目を少し開くと驚愕した。僕から10メートル以内の草はすべて粉々にされていた。もし、この技はたいしたことがないなら雷爆はどのぐらい強いのか?
竜の声が僕の頭の中で聞こえた。
「ボッとしている暇はないぞ、飛鳥。普通の人はけっして雷爆を使いこなすことはできない。才能があっても一ヶ月はかかるはずだ。でも、あなたとその剣なら一週間以内にできると思う。」
「竜神様、いったい僕のどこがすごいんですか?学校を一年速く卒業した以外、僕に目立つところはないと思いますが。。。」
竜は一呼吸おいて話しを続けた。
「まだ私はあなたの能力と才能のことはよく知らない。でも、君の才能を確認する証拠ならある。今、あなたの雷切りは普通の人の雷爆よりちょっと弱いぐらいだった。つまり、あなたのチャクラはかなり強くて、この剣とよく一致している。」
竜のほめ言葉で、僕は自分に誇りを感じた。静かに深く息を吸った。
「それでは、雷爆の最初のステージに入ります。」
「わかった。すべての毛穴からチャクラを安定させながら流出しなさい。まだ最初のほうだからチャクラの量をできるだけ少なくしなさい。」
僕の中にためられているチャクラの約二十分の一を着実に流出した。限られたチャクラの量を使い切ったとき、青白い円光が僕と雷竜を包んでいた。
「よくできた。ここからが難しい。あなたはいま、雷切りをしなくてはならない。雷があなたのチャクラと接触したとき、雷爆ができる。だが、気をつけろ。火が油にあふれると、その火はでかくなり、暴れる炎になる。炎が暴走すると、簡単にコントロールできなくなる。同じことがここで起こる。覚悟はできているか?」
「はい。やって見せます!」
僕の前にあるチャクラの壁を少し薄くして、削ったチャクラを僕の後ろに動かした。こうすれば酷い間違えをおかした場合、助かるからだ。一歩進んで剣を後ろに引き、大声を出して剣をすばやく振った。
見事な雷が目の前で爆発して、その雷は急速に空に向かって広がった。雷の構造を維持するため、急いで螺旋状に剣を振り回し、気がつけば青い雷の竜巻の中心にいた。地面に散らばっていた草や地、枯葉は竜巻の一部となり、チャクラをくっている竜巻はどんどん高くなって広がっていく。この巨大な雷をどうにかコントロールせねば、今の状況では竜巻が暴走して死に至る被害がでるかもしれない。
竜巻の中にグサッと剣をつき、全力で僕は竜巻を傾けた。竜が地面に落下するように、竜巻の天辺は地に急落して行った。竜巻の真下には三十メートルぐらいの一本の木がそびえ立っていた。雷の竜巻は最後の瞬間、口をあけた竜の顔ように見えた。これが雷爆なのか?
思わず、最後に僕は怒鳴った。
「雷爆!」
木と雷が接触し、そこから出た青白い光は朝の空を輝かせた。地震のように地面は暴れて踊り、雷は火の花火を起こした。ほこりの波が向かって来たので、僕は手を犠牲にして目を守った。手と腕に刺さる塵により血を出し、地面に僕の足場を失った。何もできず僕の体は硬い地に投げつけられ、近くにあった石は、いきなり飛んできて僕の頭にぶつかった。その瞬間、世界は真っ暗になった。
ようやく目が開いた。手を口の前において、深くあくびをした。周りを見ると僕は病院の中にいた。真っ白くて、高級に見えるベッドはきちんと並べてあり、右には面白そうな本が重ねてあった。左には大きい窓があり、アマテラスが輝く光は妖精のように踊っていた。
十分後足音が近づく音を聞き、ドアがいきなり開いて男性が入ってきた。ぼくは頭を窓のほうから男性に振りかえり、顔を眺めた。そしてぼくの心臓は止まりそうになった。
エルゲン総隊長の有名な金色の目がぼくをじっくり眺めていた。
ベッドの上にひざまずいて深くお辞儀をした。あまりにも興奮しすぎて額はベッドの枠にぶつかって、痛みが僕の頭を走りめぐった。総隊長との最初の出会いはよくなかった。
「エルゲン総隊長!お会いできて深く光栄です!」
エルゲン総隊長は腰に両手を置いて笑った。
「飛鳥、顔を上げてくれないか?お辞儀はあまりにも形式的だと思うんでね。そして、君のりりしい顔を見せてほしいな~」
「は、はい!」
今度は頭を急に上げたので、首の骨はボリッという音を立てて、さらに首も痛くなった。あまりにも情けなくて、ぼくの顔は真っ赤になった。
でも、エルゲン総隊長はうれしそうに笑って、彼が持っていた水筒からたっぷり水を飲んだ。
「飛鳥、君の名字は何だ?」
「黒岩です。」
「ほう、ほう。それなら、黒石・飛鳥、君と話したいことがある。よろしいか?」
「はい!どんな質問してもかまいません!」
「それんら楽に質問できるな。さあ、はじめましょう。君の左にあるその剣、見せてくれないか?」
「はい!」
両手で剣の鞘を握って、エルゲン総隊長の前においた。エルゲン総隊長はゆっくりと、人差し指で雷竜の鞘をさわろうとした。接触した瞬間、赤い雷がバキバキと激しく音を立てて剣を取り巻いた。しかたなく、エルゲン総隊長は人差し指を引いて、ぼくを見て尋ねた。
「飛鳥君、その剣をさわってくれないか?ちょっと試したいことがあるんでね。」
うなずいてから、僕はそっと剣を持ち上げた。バキバキした赤い雷は消え、いつも感じる暖かい気持ちが体の中にあふれた。
エルゲン総隊長は興奮した顔を隠さず見せて、もう一度たずねた。
「飛鳥君、その剣を抜いてくれないか?」
「わかりました。」
すばやく、僕は剣を鞘から抜いて、刃をエルゲン総隊長に見せた。エルゲン総隊長は剣の刃をじっくり見てもう一度水筒に口を当てた。
「ほう、ダイヤ・パトリーナの剣だな。誰が作ったんだ、その剣を?」
「清正という刀鍛冶が作りました。父はいちよう清正にダイヤ・パトリーナをどこで手に入れたかを確かめるためたずねようとしたが、父がいったとき清正は行方不明になっていました。」
エルゲン総隊長はうなずいた。
「そうだな。いちよダイヤ・パトリーナは人工の要素だからな。ということは、パトリーナ自体が作った要素だ。しかも、パトリーナは剣ひとつしか作っていない。そして、その剣の名は雷竜だ。どうかな、その剣の名を知っているか?」
僕は何十秒間何もいえなかった。この剣はパトリーナ様の剣なのか?ありえない!なぜ僕みたいな人がこの伝説の剣を持っているのか?
つばをごくりと飲んで僕は答えた。
「エルゲン総隊長が言うとおり、この剣の名は雷竜です。」
「やはり。だが、飛鳥君、なぜ君はその剣の名を知っているのか?」
「僕はこの剣の魂と話したことがあるので、僕の名前を交換してこの剣の名を知ることができました。」
「そうか。剣の魂と話せる人は剣を最も愛する人だ。その魂が君に名前を教えたこともたいしたことだ。」
「ありがとうございます!」
「さて、第二問を聞くぞ。あの草原で君が開放した技、相当強力な技だったな。その技、誰が教えてくれたんだ?」
「この剣の魂が教えてくれた技です。雷爆といいます。」
「なるほどな。パトリーナが一番気に入っていた技だな。でも、たいしたものだ。雷爆は雷の性質をもっている剣の中で一番使われている技だ。きみの雷爆の力はほかの雷爆使いよる数十倍強い。君が修行していた草原の縦約500メートル、横約500メートルだ。君の雷爆はその草原の五分の二を完全に破壊し、あとの五分の三は塵や岩で散らばっている。不幸中の幸いで草原の周りに立っていた家には傷がなかった、被害者は6名も出た。君の力を恐れ、君をシフターと呼んでいる人もいる。でも、ほとんどのみんなは君ではなく、君が持っている剣の力を恐れている。いや、そんな事を言いに来たんじゃない。とにかく、明日の昼ごろ、君は裁判所に行かなくてはならない。」
僕は口をきけなくなった。
「信じられない!この剣と僕の力はそこまでの破壊力を持っているのか?僕の雷爆でそんな被害がでていたなんて!父と母に申し訳がたたない。。。かなり怒っているのだろうな。。。」
「安心しなさい。君の父と母は怒ってはいない。心配しているだけだ。ただ、心配のため、最初に君の居場所を僕にも教えてくれなかったよ。親の愛情はときどき厄介なもんだ。」
それにしても裁判所とは。。。心配になって、僕は尋ねてた。
「裁判所で決められることは何ですか?」
「一つはその剣の没収、次に君の体を完全に調べることだ。たくさんの人々はこの提案に同意しているが、私には別の考えがある。」
「その考えとは何ですか?」」
エルゲン総隊長はにっこり笑った。
「私の特殊部隊の一部となって働いてほしい。君に巨大な才能があることはわかった。その才能を完全に使いこなすため、君と似ている人々と一緒に私の元で訓練してほしい。」
僕は口を開けたまま、僕はエルゲン総隊長を見ることしかできなかった。聞き間違えたのか?
「ほ‐ほんとにいいんでしょうか?」
「よくなかったらなぜ私が聞くのだ?」
あまりにもうれしくて涙が目から流れてきた。これなら僕の希望がかなう!
「ありがとうございます!ほんとうに、ありがとうございます!」
「喜ぶのはまだ早い、飛鳥君。裁判所で君の運命は決められる。私でも、君が望む運命を決めるのは不可能だが、できるだけやってみせる。」
ベッドの横に座っていたエルゲン総隊長は立ち上がって、ゆっくり腰を後ろにそった。
「ともかく、体の傷はまだ完全に治っていないと医者がいっていた。病院にいる間はそこにある本を読んでゆっくり傷を癒しなさい。明日の朝、私はまた来る。」
「わかりました、エルゲン総隊長。僕を信じてくれて、本当にありがとうございます。」
エルゲン総隊長は微笑んで、音を立てず部屋を立ち去った。

その夜、飛鳥の父と母は深く考え込んでいた。
「絶対に飛鳥の体を裁判所のやつらなんかには渡さない。なぜ最近の人間は力に恐怖を持つ?この恐怖を失わないと、人類はシフターに滅びる。人間はどんどん弱くなっていくだけ。でも、私たちの息子、飛鳥、は違う。殺された兄、人類と剣を愛する立派な息子だ。飛鳥の希望を叶えるにはやはりエルゲンと手を組むのは正しいと思う。」
と飛鳥の母、ヘレナは考えたことを言葉にした。
飛鳥の父、カスヒはうなずいて、夜の清らかな空気を深く吸った。
すると外の窓がいきなり開き、一陣の冷たい風が入ってきた。マントに包まれた人物が窓から侵入し、後ろ手で窓をしめた。
ヘレナとカスヒが何も言える前に、その人物はマントを取った。
「ただいま、父上、母上。」
三年前に死んだ兄、レオンは邪悪な微笑を浮かべた。さりげなく手にあるナイフと遊んでいた。
カスヒの膝はぐらぐらと揺れ、ヘレナは口を手でふさいで泣き始めた。
「どういう気分だ?あんたら二人の手で助けられなかった息子をみて、どう感じてる?まあ、いい。あんたらには興味ない。あんたらのもう一人の息子、飛鳥はどこだ?ちょっと話したいことがあるんでね。。。」
ヘレナは頭を振って、カスヒは凶器の視線でレオンの空っぽの目をみた。
「飛鳥をおまえにはけっしてあわせない、この化け物め!よくも、よくもこの家族をここまで苦しませた。絶対に許さない!」
カスヒは自分の刀を抜き、全力で化け物のほうへ走った。化け物の首を狙って大声を出して刀を振った。でも、化け物の顔を見た瞬間。。。できなかった。刀の刃はレオンの首と接触する寸前でとめられ、皮膚は切れていなかった。一瞬恐怖に包まれたレオンの目は、すばやく邪悪なきらめきを取り戻した。気がついた父親は、レオンのナイフが動くのを見て、交わそうとしたが遅すぎた。ナイフはカスヒの胸に深く埋め込まれて、血液の噴水で床が赤く染まり、そこに崩れ落ちる前に父親はすでに死んでいた。
「まったく、やっかいだ。もちろん父親は助けにならない。」
化け物は震えるヘレナの姿を見て、一歩一歩近づき始めた。
「さあ、ヘレナよ。飛鳥の居場所を教えてくれたら命は助かる。」
ヘレナは見上げ、目には愛情と憎しみ、絶望の炎が激しく燃えていた。
「何百回、何千回、何万回、何億回叩かれて皮膚が剥がれても、けして飛鳥の居場所を教えない。」
化け物は深くため息をした。
「やはりそうか。それなら、君の存在はもう必要ではない。」
ナイフが交わすことができない速さで、ヘレナの頭を目指して飛んできた。その瞬間、ナイフは目の間に突き刺さり、黒岩 ヘレナの命は終わった。
レオンの姿をした化け物は元のシフターの姿へ戻り、ヘレナとカスヒの死体に向けてつばを吐いた。
「何考えていたんだ、俺は。あいつらのチャクラを食うことができたのに。急ぎすぎたか。」
そのシフターは死体をけって、すばやく窓から外へ出た。血で染れた黒岩の家は、シフターの恐ろしさを永遠に伝える。

その夜、飛鳥は急に悪寒を感じた。体温は通常よりも二度も下がったようだ。だが十分後にはこの現象は消え、飛鳥は不安に駆られた。なにか、とんでもないことが起こったと。

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